書籍の雪崩に抗して:To Sow a New Mentality

──積読の山が崩れる現場から発信される徒なる思案
<< ブラウン神父もの | TOP | 拡張子「.docx」のxとは? >>

『バイオポリティクス』

2007.06.14 Thursday | 本・読書

 米本昌平『バイオポリティクス——人体を管理するとはどういうことか』(中公新書、2006年)を読む。

 生命科学は今や政治の問題だと主張する書。20世紀後半の生命倫理学(バイオエシックス)の枠組み(例えば自己決定)が揺らぎ、新しい秩序が求められ、一部構築されていることを述べている。何でも自己決定のアメリカ、伝統的な価値に根ざしつつ新しい秩序を造りつつあるヨーロッパ、ほとんど無法地帯の日本。そしてこういった先進国に入りつつある、あるいは入らない国々。それぞれの対応が興味深い。
 もっとも生命科学が政治の問題となったというのはある意味では正しいが、別の意味では依然からそうだったとも考えられる。つまり、政治家が国家の問題として取り上げるようになったという意味では正しい。しかし人間の生死は生まれかつ死ぬ当人がどうこうできるものではない。人は生まれてきた瞬間を知らないし、私は死んだと語ることもできないからである。だとするならば、そこには必ず当人を「どうとでもできる」《力》ある他者との関わりが生じる。ここに権力関係を見ることは容易である。その意味で、生命科学はもともと政治の問題だったと言えよう。

 さあれ、生命と政治との関わりについて考察したい人には必読の書であろう。

バイオポリティクス―人体を管理するとはどういうことか
米本 昌平
中央公論新社 (2006/06)
売り上げランキング: 62332
author : ラ・ゲニア | comments (0) | -

Comment

Comment Form